実践される場所・これまでとこれから

クリティカルケアについて学ぶ
クリティカルケアは、病気や外傷などにより生命の危機に直面している重症患者に対して行われる、専門性の高い看護のことです。重症患者は容体が急激に変化する可能性が高く、迅速かつ的確な対応が不可欠なため、クリティカルケアに従事する看護師は高度な知識と技術、臨機応変に対応する能力と迅速な判断力が求められます。
また、クリティカルケアでは患者の身体的ケアだけでなく、心理面や社会的背景にも配慮した包括的な支援が求められています。そのため、クリティカルケアの専門家であるクリティカルケア認定看護師の教育課程では「臨床病理生理学」や「臨床薬理学」「チーム医療理論」「患者や家族の心理・社会的アセスメント」「フィジカルアセスメント」など、様々な分野を体系的に学びます。
実践されている場所
クリティカルケアは主に、集中治療室(ICU)や救命救急センターなど、生命の危機に直面している患者がいる場所で行われます。これらの現場では、患者の脈拍・血圧・呼吸といったバイタルサインを24時間体制でモニタリングし、必要に応じて人工呼吸器や除細動器なども使用しているため、看護師は高度な知識と技術を身につけておかなければなりません。
2022年の診療報酬改定により、急性期病棟での入院期間が短縮され、一般病棟でも重症患者をケアする機会が増加しました。在宅医療においても急変リスクのある患者や高度医療を必要とする患者が存在するため、今後さらにクリティカルケアのニーズは高まっていくと考えられます。
クリティカルケアの歴史と発展
クリティカルケアは1969年、アメリカ重症看護協会(AACN)の設立を契機に発展しました。日本でも2004年に日本クリティカルケア看護学会(JACN)が設立され、クリティカルケアの重要性が広く認識されるようになりました。
当初、クリティカルケアはICUやCCU、救命救急センターといった生命に関わる重症患者がいる医療施設に限定されていましたが、現在は患者の年齢や病状を問わず、急性期ケア、周術期看護、終末期ケア、災害医療といった幅広い領域で実践されています。
今後はどうなる?
医療技術の進歩や高齢化の影響により、重症患者への対応力を持つ看護師の需要は今後ますます高まることが予想されます。実際、ICUや救命救急センターに限らず、災害現場や在宅医療など、様々な場面でクリティカルケアの知識と技術を持つ看護師が求められています。
現在、大学などでもクリティカルケア看護学が専門領域として広がりを見せています。クリティカルケアの分野に興味があるなら、一歩踏み出して学びを深めてみてはいかがでしょうか。